87歳現役トレーダー シゲルさんの教え|18億円より重要な「時間差複利の法則」

株価は、 数字が動かしている んじゃない。
87歳、現役トレーダーが68年かけて見抜いた「人の心の正体」
『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』藤本茂 著
株価は下がった。
株価は上がった。
ニュースを見て「これは上がるはずだ」と買ったのに、なぜか下がる。
逆に、たいしたニュースもない株が、静かに上がり続けている。
そんな経験はないでしょうか。
実は、87歳の現役トレーダーは、ニュースの内容そのものを見ていません。
見ているのは、そのニュースに「みんながどう反応するか」だけです。
この人は、何をしている投資家なのか
『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』は、兵庫県出身の藤本茂さんという、一人の投資家の記録です。
19歳で株を始め、雀荘を経営しながら投資を続けました。66歳で初めてパソコンを買い、ネット取引に切り替えています。バブル崩壊では資産が10億円から2億円まで減りました。それでも辞めませんでした。
いまの資産は18億円を超え、87歳になった今も、毎朝2時に起きて相場と向き合っています。
この本のテーマは一つです。「68年間、相場から逃げなかった人は、何を見て判断しているのか。」
核心:見ているのは「数字」ではない
シゲルさんが株を選ぶとき、最初に見るのは「増収・増益・増配」です。売上が伸びているか。利益が伸びているか。配当が増えているか。
ここまでは、よくある分析に見えます。しかし、シゲルさんがこの数字を見る理由は、少し違います。「この数字を見て、ほかの投資家がどう動くか」を読むために見ているのです。
良いニュースが出ても上がらない株もある。たいしたニュースがなくても静かに買われている株もある。その差を生むのは、ニュースの良し悪しではなく「みんながどう受け止めるか」という、もう一段深い読みです。
相場格言①「相場のことは、相場に聞け。」自分の予想ではなく、実際の値動きという「みんなの答え」を信じる、という意味です。
だから生まれた「1:2:6」というルール
「みんながどう反応するか」は、買う前には誰にも分かりません。だから、シゲルさんは一度に全額を賭けません。最初に少しだけ買って、ほかの投資家が実際に反応するかどうかを確かめるのです。
当たれば増やす。外れれば、最初の少量だけで終わる。心理を読むという、本来は不確かな作業を、損失を抑えながら検証していく仕組みに変えているのです。
「読める心理」を選ぶ、という戦略
シゲルさんの主戦場は、大型株ではありません。中小型株です。理由は単純です。大型株には、巨額の資金を持つ機関投資家が大勢参加しています。個人投資家が、機関投資家の「心理」を読むのは至難の業です。
一方、中小型株は、個人投資家どうしの心理戦になりやすい。シゲルさんにとってこれは、「自分が読める範囲」を選ぶという戦略なのです。
ここで、シゲルさんは一つ警告もしています。急に値上がりした株(仕手株)に、理由もわからず飛びつくのは危険だと。なぜ上がっているのかを確かめずに、「上がっているから」買う人がいちばん危ない。それは、価格という結果だけを見て、心理という原因を見ていない買い方だからです。
相場格言という、心理を律する型
シゲルさんは、いくつかの相場格言を大切にしています。数字の話ではなく、自分の心理を律するための「型」です。
値動きの一番上と一番下は、心理が最も荒れる場所。そこを完璧に取ろうとするな、という戒めです。
一番おいしいところまで取ろうとすると、判断が遅れたり、欲が出たりします。「自分が正しい」と思い込む心理から、自分自身を守るための型。それが相場格言の役割です。
損をしてもクヨクヨしない。確信がない時は、何もせず休む。どれも、テクニックではなく、心理との付き合い方の話です。
伝え方も、売り方も、頼み方も同じ構造でできている。仕事でも、人間関係でも、「正しいこと」を言っているのに伝わらないのは、人が正しさではなく心理で動くからです。
87歳になっても、シゲルさんは今日も2時に起きて相場と向き合っています。68年かけて辿り着いたのは、勝つための魔法ではなく、人の心を読み続けるという姿勢でした。












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