2026-05-27

『爆弾』感想|自分はどっち側なんだろう?内面を揺さぶられる怪物級ミステリー

『爆弾』感想|自分はどっち側なんだろう?内面を揺さぶられる怪物級ミステリー
爆弾 感想
BOOK REVIEW

「あっち側に引きずられる感覚」
『爆弾』を読んで、自分の中の悪意に気づいた話

最近、ちょっと刺激が足りていない。
そんな感覚を抱えている人にこそ読んでほしい一冊があります。

呉勝浩『爆弾』。

この作品は、ただのサスペンスではありません。 読み終わったあと、自分の中にある“何か”を静かに掘り起こされるような感覚が残る。

あらすじ|すべては「十時に爆発があります」から始まる

物語の舞台は取調室。

自称・スズキタゴサクという冴えない中年男が、突然こう言います。

「十時に爆発があります」

そして実際に、東京で爆発が起きる。

警察は彼から情報を引き出そうとしますが、 スズキタゴサクは核心を語らないまま、 意味があるような、ないような話を延々と続けていく。

東京中に仕掛けられた爆弾。 爆発までのタイムリミット。 取調室で繰り広げられる知能戦。

でも、この作品の本当の恐ろしさは、 “事件”よりも“人間”のほうにあります。

スズキタゴサクという男が頭から離れない

読みながらずっと思っていたのが、 「この人、リアルすぎる」ということでした。

意味があるようでない話を、 延々と、途切れずに、滑らかに喋り続ける。

気づいたら脳内で勝手に声が再生されている。

私の中では完全に佐藤二朗さんでした。

しかも不思議なことに、 RADWIMPSの「おしゃかしゃま」のリズムに タゴサク構文を当てはめてしまう。

あの理屈っぽくて、 どこかズレていて、 でも妙に耳に残る感じ。

一度ハマると、 読み終わったあともしばらく抜けません。

「理解したくないのに、少しわかってしまう」怖さ

この本が怖いのはここです。

犯罪者の思想に賛同したいわけじゃない。 むしろ理解なんてしたくない。

でも読み進めるうちに、 ふと考えてしまう。

「もしかして、自分もあっち側になる可能性ってあるんじゃないか?」

普通に生活しているつもりでも、 何かの拍子で人は簡単にズレてしまうのかもしれない。

そんな感覚が、 じわじわと内側に入り込んできます。

ニュースを見る目が変わった

読後、ニュースを見る感覚が少し変わりました。

事件を見て、 「怖い」で終わらなくなった。

自分はどっち側なんだろう。 本当に安全な場所に立てているんだろうか。

そんな問いが頭に残る。

この作品は、 読者自身の内面に静かに爆弾を置いていきます。

こんな人におすすめ

  • 最近、刺激が足りないと感じている人
  • 考え始めると止まらなくなる人
  • 読後に“余韻”が残る作品が好きな人
  • ただのミステリーでは物足りない人
作品情報
タイトル:爆弾
著者:呉勝浩
出版:講談社文庫
ジャンル:サスペンス・ミステリー
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