2026-06-19

Amazonは通販で儲かっていない|利益の67%を稼ぐ本当の事業とは?

Market Analysis / Business Model

Amazonは、通販で
儲かっていない。

毎日のように荷物が届く。あの巨大企業が本当に稼いでいる場所を、知っていますか。

60 %超
営業利益の
AWSシェア(2025)

昨日も、Amazonで本を買いました。

翌日には届いて、レビューを見ながら選んで、プライム特典でおまけの映画まで観た。 便利すぎて、もう生活の一部です。

でも、ふと思うんです。
この会社、どこで稼いでいるんだろう?

配送コストは莫大で、価格競争は熾烈で、倉庫には何万人もの人が働いている。 通販って、本当に儲かるビジネスなのかな、と。

実は、Amazonの通販ビジネスはほとんど利益を出していません。
利益の源泉は、まったく別のところにある。

今日は、Amazonの「本当の稼ぎ方」を、数字で丁寧に追っていきます。


Amazonの売上は、
こんな構造になっている

まず、全体像を把握しましょう。

2025年のAmazon全体の年間売上は、約7,170億ドル(日本円で約107兆円)。 前年比13.8%増と、さらに加速しています。

しかし、「売上が多い ≠ 利益が多い」という事実が、ここには隠れています。

売上の内訳(2025年通年)

▲ 各セグメントの売上高(全体を100とした構成比)
直販EC
37.6%
マーケット手数料
24.0%
AWS
18.0%
広告
9.6%
Prime会費
6.9%
実店舗ほか
4.0%

売上だけ見ると、通販(直販EC)が最も大きい。

ところが、「利益」で見ると話がまったく変わってくる。

🩺
看護師コラム | バイタルは「全体」で読む

患者さんの状態を確認するとき、体温だけ、血圧だけを見ることはありません。
SpO₂、脈拍、呼吸数——全部合わせて「今この人はどういう状態か」を判断する。

企業分析も同じです。売上という「体温」だけを見ると、本質を見誤る。
大切なのは、どこで「酸素(利益)」を作っているかなんです。

利益の6割超を、
たった一つの事業が生んでいた

では、Amazonの「利益」はどこから来ているのか。

ここで登場するのが、AWS(Amazon Web Services)

「聞いたことあるけど、なんだっけ?」という方に、一言で説明します。

AWSとは、企業や個発者にインターネット上のコンピューター・サーバーを貸すサービスのこと。
Netflix、Airbnb、日本政府のシステムまで、世界中がAWSの上で動いています。

Key Number 60%超

2025年、AmazonのAWS年間営業利益は約456億ドル。
直近の2025年Q3では営業利益の6割以上をAWS1社で稼いだと報告されています。
売上シェアはたった18%なのに、利益の大半を生み出している。

通販 vs AWS — 利益率の圧倒的な差

EC / 通販
低め

配送コスト・物流費・人件費・値引き競争……。 利益を圧迫する要因が山積みです。 AWSなしでは赤字になる年もありました。

AWS / クラウド
〜39%

2025年Q1の営業利益率は約39.5%。 物を持たずに、サーバーという”場所”を貸すだけで高利益を出せる構造。

2025年通期のAWS営業利益率は約35〜40%の高水準で推移。 つまり、AWSは「世界最強の利益マシン」のひとつなのです。


実は「広告」も、
急成長している

AWSの話に驚いていると、もうひとつ重要な事実を見落としてしまいます。

それが、広告事業です。

Amazonで商品を検索するとき、上位に表示される「スポンサー商品」を見たことがあるはずです。 あれが広告です。

2025年の広告収入は686億ドル(約10兆円)。前年比約22%増。 しかも2025年Q3単体では前年同期比24%増と、成長がむしろ加速しています。

しかも、広告はほぼコストゼロで売れます。
既に膨大なECユーザーがいる場所に広告を貼るだけだから、利益率が非常に高い。

!

Googleでもなく、Metaでもなく、Amazonは「買う気満々の人」に広告を届けられる唯一無二の場所。
商品検索の場所に広告があるのは、理にかなっているんです。

Amazonがここに辿り着くまでの
大胆な転換

なぜ「通販会社」がクラウドや広告で稼ぐようになったのか。 経緯を少し追ってみましょう。

1995年
オンライン書店としてスタート。利益よりも「規模の拡大」を最優先する戦略を貫く。
2006年
AWS誕生。EC運営のために自社で培ったインフラ技術を「外部に売る」という発想の転換。
2014年頃
AWSがなければ赤字になる年も。通販の利益率の低さが明確になりつつあった時期。
2020年代
広告事業が急拡大。AWS・広告が「利益の二本柱」として確立。ECは集客装置として機能する構造が完成。
2025年
AWS売上1,287億ドル(前年比約20%増)、広告売上686億ドル(同22%増)。Q4のAWS成長率は24%と過去13四半期で最高水準を記録。2026年向けに約2,000億ドル規模のAI投資計画を発表し、さらなる加速が見込まれる。
💊
看護師コラム | 副作用のないビジネスモデル

薬を扱うとき、「主作用」と「副作用」を必ずセットで考えます。
副作用がほとんどなく、効果が高い薬は理想的。

AWSは、まさにそれに近い。既に持っているインフラを使って、
「物を仕入れる・配送する・返品される」というコストがほぼ発生しない

通販という「痛みを伴うビジネス」を続けながら、
副作用のほとんどない高純度な利益を別ルートで出し続けている。
これがAmazonの本当の強さだと、私は思います。

「Amazon Japan」は
今、どこにいるのか

日本国内で見ても、規模は圧倒的です。

2025年のAmazon日本事業の売上高は、円換算で約4.6兆円(ドルベース306億ドル)。 前年比12%増と、2ケタ成長を回復しました。

そして、AWSジャパンも2026年に麻布台ヒルズに新オフィスを開設するなど、日本でのクラウド展開を強化中です。

私たちが日常的に使っているサービスの「裏側」で、国内でも着々とAWSの基盤が広がっている。

ちなみに、あなたが今使っているサービスの多くも——Netflixも、LINEも——インターネットの「水道管」としてAWSを使っている可能性があります。


Amazonの正体、
3行でまとめると

  • 1 通販(EC)は「顧客を集める装置」。利益率は低く、AWSがなければ赤字になる年もある。
  • 2 AWS(クラウド)が営業利益の6割以上を稼ぐ。2025年Q1の営業利益率は約39.5%という驚異的な水準。
  • 3 広告事業(686億ドル・前年比22%増)も急成長中。2025年Q3は24%増とさらに加速。「買う気満々の人」への広告が稼ぎを生んでいる。
私が伝えたいこと

Amazon Japanで届く荷物は「広告塔」だった。
本当の稼ぎは、インターネットの見えない「裏側」で静かに積み上がっている。

表面で見えているものと、本質は、いつも別の場所にある。

これは投資家目線でも面白い構造で、 「EC企業に見せかけたクラウド・広告企業」という本質を理解すると、 Amazonという会社の評価軸が変わってきます。

「見えているもの」だけで判断しない。 それは投資も、仕事も、人間関係も同じかもしれません。

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