Amazonは通販で儲かっていない|利益の67%を稼ぐ本当の事業とは?

Amazonは、通販で
儲かっていない。
毎日のように荷物が届く。あの巨大企業が本当に稼いでいる場所を、知っていますか。
営業利益の
AWSシェア(2025)
昨日も、Amazonで本を買いました。
翌日には届いて、レビューを見ながら選んで、プライム特典でおまけの映画まで観た。 便利すぎて、もう生活の一部です。
でも、ふと思うんです。
この会社、どこで稼いでいるんだろう?
配送コストは莫大で、価格競争は熾烈で、倉庫には何万人もの人が働いている。 通販って、本当に儲かるビジネスなのかな、と。
実は、Amazonの通販ビジネスはほとんど利益を出していません。
利益の源泉は、まったく別のところにある。
今日は、Amazonの「本当の稼ぎ方」を、数字で丁寧に追っていきます。
Amazonの売上は、
こんな構造になっている
まず、全体像を把握しましょう。
2025年のAmazon全体の年間売上は、約7,170億ドル(日本円で約107兆円)。 前年比13.8%増と、さらに加速しています。
しかし、「売上が多い ≠ 利益が多い」という事実が、ここには隠れています。
売上の内訳(2025年通年)
売上だけ見ると、通販(直販EC)が最も大きい。
ところが、「利益」で見ると話がまったく変わってくる。
患者さんの状態を確認するとき、体温だけ、血圧だけを見ることはありません。
SpO₂、脈拍、呼吸数——全部合わせて「今この人はどういう状態か」を判断する。
企業分析も同じです。売上という「体温」だけを見ると、本質を見誤る。
大切なのは、どこで「酸素(利益)」を作っているかなんです。
利益の6割超を、
たった一つの事業が生んでいた
では、Amazonの「利益」はどこから来ているのか。
ここで登場するのが、AWS(Amazon Web Services)。
「聞いたことあるけど、なんだっけ?」という方に、一言で説明します。
AWSとは、企業や個発者にインターネット上のコンピューター・サーバーを貸すサービスのこと。
Netflix、Airbnb、日本政府のシステムまで、世界中がAWSの上で動いています。
2025年、AmazonのAWS年間営業利益は約456億ドル。
直近の2025年Q3では営業利益の6割以上をAWS1社で稼いだと報告されています。
売上シェアはたった18%なのに、利益の大半を生み出している。
通販 vs AWS — 利益率の圧倒的な差
配送コスト・物流費・人件費・値引き競争……。 利益を圧迫する要因が山積みです。 AWSなしでは赤字になる年もありました。
2025年Q1の営業利益率は約39.5%。 物を持たずに、サーバーという”場所”を貸すだけで高利益を出せる構造。
2025年通期のAWS営業利益率は約35〜40%の高水準で推移。 つまり、AWSは「世界最強の利益マシン」のひとつなのです。
実は「広告」も、
急成長している
AWSの話に驚いていると、もうひとつ重要な事実を見落としてしまいます。
それが、広告事業です。
Amazonで商品を検索するとき、上位に表示される「スポンサー商品」を見たことがあるはずです。 あれが広告です。
2025年の広告収入は686億ドル(約10兆円)。前年比約22%増。 しかも2025年Q3単体では前年同期比24%増と、成長がむしろ加速しています。
しかも、広告はほぼコストゼロで売れます。
既に膨大なECユーザーがいる場所に広告を貼るだけだから、利益率が非常に高い。
Googleでもなく、Metaでもなく、Amazonは「買う気満々の人」に広告を届けられる唯一無二の場所。
商品検索の場所に広告があるのは、理にかなっているんです。
Amazonがここに辿り着くまでの
大胆な転換
なぜ「通販会社」がクラウドや広告で稼ぐようになったのか。 経緯を少し追ってみましょう。
薬を扱うとき、「主作用」と「副作用」を必ずセットで考えます。
副作用がほとんどなく、効果が高い薬は理想的。
AWSは、まさにそれに近い。既に持っているインフラを使って、
「物を仕入れる・配送する・返品される」というコストがほぼ発生しない。
通販という「痛みを伴うビジネス」を続けながら、
副作用のほとんどない高純度な利益を別ルートで出し続けている。
これがAmazonの本当の強さだと、私は思います。
「Amazon Japan」は
今、どこにいるのか
日本国内で見ても、規模は圧倒的です。
2025年のAmazon日本事業の売上高は、円換算で約4.6兆円(ドルベース306億ドル)。 前年比12%増と、2ケタ成長を回復しました。
そして、AWSジャパンも2026年に麻布台ヒルズに新オフィスを開設するなど、日本でのクラウド展開を強化中です。
私たちが日常的に使っているサービスの「裏側」で、国内でも着々とAWSの基盤が広がっている。
ちなみに、あなたが今使っているサービスの多くも——Netflixも、LINEも——インターネットの「水道管」としてAWSを使っている可能性があります。
Amazonの正体、
3行でまとめると
- 1 通販(EC)は「顧客を集める装置」。利益率は低く、AWSがなければ赤字になる年もある。
- 2 AWS(クラウド)が営業利益の6割以上を稼ぐ。2025年Q1の営業利益率は約39.5%という驚異的な水準。
- 3 広告事業(686億ドル・前年比22%増)も急成長中。2025年Q3は24%増とさらに加速。「買う気満々の人」への広告が稼ぎを生んでいる。
Amazon Japanで届く荷物は「広告塔」だった。
本当の稼ぎは、インターネットの見えない「裏側」で静かに積み上がっている。
表面で見えているものと、本質は、いつも別の場所にある。
これは投資家目線でも面白い構造で、 「EC企業に見せかけたクラウド・広告企業」という本質を理解すると、 Amazonという会社の評価軸が変わってきます。
「見えているもの」だけで判断しない。 それは投資も、仕事も、人間関係も同じかもしれません。









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