ATMとプリンターの会社が、いつの間にか「防衛銘柄」になっていた話。

ATMとプリンターの会社が、
いつの間にか「防衛銘柄」になっていた話。
病棟で夜勤明けの朝、スマホをぼんやりとスクロールしていたら目に留まった見出しがあった。
「老舗通信機OKI、『高市銘柄』に浮上」——日経ヴェリタスの記事だ。
OKIといえば、ATMやプリンターで知られる老舗メーカーのイメージがあった。でも、正直に言う。この銘柄が「防衛」の文脈で語られる日が来るとは、まったく思っていなかった。
「OKI」という会社を、どれくらい知っていましたか?
OKI(沖電気工業、証券コード6703)。日本の通信機メーカーとしての歴史は古く、ATMや銀行の現金処理機、プリンター、業務用通信システムなどを手がけてきた会社です。知っているようで、実はあまり知らない企業のひとつ。私もそうでした。
でも、その「地味な老舗」が今、市場の評価を大きく変えつつあります。
その鍵を握るのが、高市早苗政権が掲げる「17の戦略分野」と、OKIが持つ意外な強みでした。
「高市銘柄」とは何か。
高市早苗首相が政権を担ってから、株式市場には「高市銘柄」というテーマが生まれました。政府が推し進める「日本成長戦略会議」の中で示された、直ちに実行すべき17の戦略分野——防衛・国防からAI、量子コンピューター、宇宙開発、エネルギーに至るまで、幅広い産業を網羅しています。
この17分野のいずれかに事業が絡む企業は「国策の後押し」を受けやすい、として機関投資家をはじめ個人投資家にも注目されてきました。そして今、OKIがその「当てはまる数が多い銘柄」として急浮上しているのです。
高市政権 17の戦略分野(OKI適合分野を強調)
■ 塗りつぶしはOKIの事業が関連する分野(参考表記)
「高市政権の17の戦略分野が当てはまる数が多い。
埋もれがちだが、防衛事業の比率が意外と高い」
(「三井住友・日本株オープン」運用担当)
OKIの「見えていなかった強み」——水中音響技術と防衛事業。
ATMとプリンター。これがOKIに対する一般的なイメージだと思います。でも実は、OKIは長年にわたって防衛省向けの通信システムや、水中音響技術を使ったソナー・計器の開発に携わってきた会社でもあります。
2026年4月、OKIはその本気度を示す組織変更を行いました。これまで「特機システム事業部」と呼ばれていた部門を、「ディフェンスシステム事業部」に改称。防衛関連事業を会社の看板に掲げ、国内外のパートナーや顧客に対して「防衛の会社でもある」と明確に発信し始めたのです。
OKIは「情報通信技術」「センシング技術」「エッジ技術」を三本柱とし、社会インフラ・製造・海洋を注力領域として位置づけています。特に「海洋」分野における水中音響技術は、防衛省のソナー需要や海洋観測インフラと直結する強みです。地味に見えて、代替しにくい技術を持つ会社——というのが、プロの目に映るOKIの姿なのかもしれません。
株価と事業の変化を、時系列で整理する。
ATMやプリンター事業の「残存者利益」を活用しながら、次の成長軸を模索する動きが鮮明に。
日経ヴェリタスが水中音響技術とソナー需要に注目。防衛事業の収益化が徐々に見えはじめる。
防衛事業を社内外に明示。野村証が同じタイミングで新規カバレッジを開始し、出来高・値幅が急拡大。
機関投資家からの組み入れが確認される。市場の評価が本格的に変わりはじめた局面。
私が思ったこと——「地味な会社」を見直す目線について。
看護師の仕事をしていると、「見えていなかった症状が、後から重要だったとわかる」という経験を何度もします。患者さんの小さなサインを見逃すことが、後の大きな変化につながる——株式市場でも、似たようなことが起きるなと思います。
OKIは、長い間「ATMとプリンターの会社」というラベルのもとで、防衛事業という本当の強みが見えにくかった。でも、政策の風向きが変わり、機関投資家が改めて企業の中身を精査しはじめたとき、埋もれていた価値が浮かび上がってきた。
「17分野のうち6つに適合」——この数字が何を意味するかというと、OKIは単一のテーマ株ではなく、複数の国策とクロスする多面的な事業ポートフォリオを持つ会社だということです。テーマ株は往々にして、1つの政策が変われば一気に売られる。でも、複数の軸を持つ銘柄は、相対的に安定しやすい。
もちろん、これは投資の推奨ではありません。2026年3月期第3四半期の売上高・営業利益はともに前年比マイナスで、手放しで「好業績」と言える状況でもない。それでも純利益が前年同期比+273%という数字は、構造的な変化の兆候として見逃せません。通期の業績予想も上方修正、増配の予定もあります。
まとめ——OKI(6703)を理解するための3つのポイント。
「知らなかった」で終わるのは、もったいない。
株式市場には、ラベルの裏側に本当の姿を隠している会社がたくさんあります。OKI(6703)は、その典型のひとつかもしれません。
次にこの銘柄の名前を見かけたとき、あなたの見え方は少し変わっているはずです。









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